
皆さんこんにちは!Blender技術記事、第12回です!
最終回となるビジュアルを制作するに至った経緯、事前に計画していたこと、そして次回の制作時に活かすべき反省点を記載し、このシリーズを締めくくりたいと思います。
経緯
今回のビジュアルは Friends of Figma Hamamatsu のイベント用に制作したものです。このイベントは「Figmaの使い方を話し合い、来年のFigmaライフに活かそう!」という、ゆるく楽しい雰囲気をテーマにしています。そのため、今回のビジュアルでも「ゆるさ」と「こぢんまりとしつつもワイワイとした楽しさ」を強調したいと考えました。
また、以前から「Blenderでビジュアルを1つ作りたい」という想いがあり、アイソメトリックな部屋のデザインが「閉じた空間感」と「賑やかさ」の両立に適しているのではと考え、今回の制作に挑みました。

意識したポイント

PintarestやDribbbleなどを使って同じような3Dの部屋のビジュアルをリサーチしたところ、クオリティの高いビジュアルに共通しているポイントを見つけました。
物の数
まずクオリティの高い作品は配置されているものの数が単純に多いです。
要素の数が多いというのはその分手が込んでいるということだと思います。3Dに限らずイラストでも同じことが言えると思うのですが、手が込んでいる=クオリティが高い、という印象を人は受け取ってしまうのではないか、と予想しています。
また、要素が増えると色数も増えるので、その分賑やかでポップな印象も強まると思います。作りたい作品の方向性にもよりますが、今回はポップな印象も狙いのうちに入っていたので要素数は多いほうが良いだろうと思い、時間の許す限り作り込もうと決めました。
素材(テクスチャ)の数
また、素材やテクスチャの種類にも差があります。
床のタイル地、カーテンのドレープ感、クッションのファブリックのしわ感、植物の葉っぱ、カーテンレールの金属感、壁の絵画など右の絵と比べると、オブジェクト一つ一つのテクスチャ感にバリエーションがあります。
テクスチャを増やすと現実のものに近づいて行きますが、形状がデフォルメされているのでミニチュア感を保ってくれていると思います。
といった意味でもテクスチャ感のバリエーションと形状のバランスを意識して作ろうと制作前に確認していました。
ライティングの存在
また、ライティングの存在も大きいと感じました。
今までもいくつか3Dを制作してきましたがとりあえず光を取り入れておくと、何も考えていなくても、雰囲気が出るので結構お手軽だったりします。
なぜ、光があるといい感じの雰囲気に見えるのかを考えてみたのですが、一つの仮説として構造的に分離しているオブジェクト同士が関連付く、というのがあると思いました。
たとえば、窓から差し込んだ光がソファやテーブルにあたり、また影になっているところが生まれたりなど、オブジェクト同士が互いに影響を及ぼし合い、それぞれの存在感を引き立たせることが出来ます。それにより、それぞれが同じ空間にいるということが強調され、空間としてのまとまりが生まれるため、雰囲気が生まれるのでは無いかと考察しています。

色
さらに、クオリティの高い作品はどれも意図を持って色の計画を行っている印象があります。
リサーチ段階で、「Figmaのロゴが画面内で大きな存在感を持つだろう」と予測していたため、ある程度の画面のトーンや色数は初期段階で決まっていました。また、Figmaロゴに使用されている色を他のオブジェクトにも反映させるなど、色の統一感を意識した工夫が必要だと考えていました。
色数は増やすほど統一感を保つのが難しくなるため、ロゴがカラフルな分、床や壁にはそれ以上色を増やさない方が良いと判断しました。しかし、無彩色に近づきすぎるとシックで地味な印象になってしまうため、それは避けたいと思いました。一方で、思い切ったビビッドな色使いはモダンな印象を与えることができるため、壁や床に強い色を採用するのも選択肢として検討しました。
とはいえ、色は比較的修正が容易な要素でもあるため、最初から細かく計画することなく制作を始めてしまった部分もあります。
考えておけばよかったこと
オブジェクトの厚みやベベル幅の統一

アイソメトリック3Dの部屋風ビジュアルの魅力は、ミニチュアと同じような魅力に近いと感じています。おもちゃのような小さなサイズ感を良い意味で表現するためには、オブジェクトの最小の厚みや角丸を事前に統一し、全てのオブジェクトがそのルールに従うようにするべきだと考えました。これにより、オブジェクト同士の世界観が統一され、まるで同じメーカーから発売されたシリーズ品のような一貫性が生まれ、画面全体に奥行きと魅力が加わったのではないかと思います。
ガラスの反射

ガラスの反射についてです。実は窓ガラスは、画面に奥行きを持たせるために急遽取り付けたものでした。そのため、制作中はあまり意識しておらず、照明の一部がわずかに反射している程度で、左側の作品のように室内の様子がきれいに反射していませんでした。さらに、クッションとFigmaくんが手前に配置されていたため、仮に反射があってもきれいに見えなかったかもしれません。今後は、ガラスや窓、鏡などの反射物に関して、反射の計画をしっかりと行うべきだと感じました。
まとめ
今回は、事前に計画していたことと反省点をまとめました。いかがだったでしょうか?
最初のうちから良いと思える作品を作れる人は殆どいないと思います!たくさんの作品を作り続けるうちに段々とクオリティが上がるものだと思いますので一つの作品に一喜一憂せず長い目で作品制作に取り組むことが実は一番の近道なのではないかなと思います!
そして、今回を持ちましてこのシリーズを締めくくりたいと思います。
本シリーズが、皆さんのBlender制作に少しでも役立つ情報となればこんなにうれしいことはありません。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!