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2024/02/29 現在の情報になります。
はじめに
Reactに慣れてきた頃、WebComponentsを使う機会がありました。
Reactだと書けるが、WebComponentsでは書けないことがあり、ハマったので記事にしてみます。
ハマったところ
select
をコンポーネントにしてみます。
Reactの場合
MUIを参考にしてみます。
https://mui.com/material-ui/react-select/
select
のコンポーネントと言えば、こんな感じですよね。
WebComponentsで実装した場合
MUIのように理想としては以下のように作りたいところです。
では作成してみましょう。
まずはWebComponentsのおさらいですが、以下のようにすれば div
で囲って slot
が入るだけのコンポーネントを作れます。
上に従って x-select
と x-option
を作ってみましょう。
実際に動かしてみます。
何故 slot
の中に、何も入らなかったのでしょうか?
一応 x-option
を使わずに実行してみます。
これも slot
の部分に、何も入っていないことが分かります。何故でしょうか?
これはWebComponentsの仕様が関係しています。
子に <slot/>
を持てる要素は attachShadow()
が使える要素に限るのです。
使用できる要素の一覧は以下で確認できます。ここに select
が含まれていないことが分かります。
https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/API/Element/attachShadow
Customized built-in elementの場合
先ほどの例は、自立カスタム要素(Autonomous custom element)で実装したものでした。
では、カスタマイズされた組み込み要素(Customized built-in element)ではどうでしょうか?
コードを以下のように変えてみます。
実際に動かしてみると、JavaScriptのエラーが発生しました。
この原因も先ほどと同じです。
 select
や option
は attachShadow()
が出来ないので、このような実装をする事が出来ないのです。
Declarative Shadow DOMの場合
最近モダンブラウザで使えるようになった、 Declarative Shadow DOM もせっかくなので試してみましょう。
がっ……駄目っ……! 理由はやはり同じです。
結論
WebComponentsでは、React(MUI)のような書き方が出来ないことが分かりました。
ではどうするのか
Vue.jsを思い出してみてください。Vuetifyの Select
では以下のような書き方をします。
https://vuetifyjs.com/en/components/selects/#usage
このように属性(Props)を使うような書き方をすれば、WebComponentsでもそれらしい事が出来ます。
JavaScriptで属性を確認して、 option
をShadowDOM内に生成するようにします。
こちらでも、課題はいくつかあります。
課題1 何を入れたら良いのか直感的に分かりづらい
今回はitemsの中身に配列(JSON)を入れていますが、これは実装者によるため予想不能です。
属性名がvalueかもしれませんし、 options
かもしれません。
配列じゃなくて、CSV形式( California, Colorado, ...
)かもしれません。
そのため、チームで統一するようにするか、コンポーネントを使う度にドキュメントを見直す事になります。
課題2 破壊的変更になりがち
select
には option
以外にも、 optgroup
を使う事が出来ます。
それを運用中に実装するとなったら困ることになります。
https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Element/optgroup
例えばitemsを配列で実装していた場合は、ここで詰むことになります。
破壊的変更をするか、新しく optgroup
に対応した select
コンポーネントを作るかという二択になってしまいます。
JSONで option
か optgroup
が選択出来るように実装していた場合はラッキーですが、課題1の問題点明らかに出ていると思います。
課題3 読みづらい
これは個人的な感想ですが、Reactなどの書き方と比べると、分かりづらい書き方を強要されます。
Litなどのフレームワークを使えば多少マシになりますが、ReactやVue.jsで書きたくなること間違いなしです。
最後に
Reactと比較したWebComponentsの実装を本記事で書きました。
この問題はWebComponentsがあまり使われていない理由の一つになっていると思います。
attachShadow()
を使う事が出来る要素が増えれば解決するのですが、セキュリティ上の都合による理由など簡単には行かないようです。
それでも、WebComponentsのポテンシャルは無視できません。今後のアップデートに期待したいところです。